小児歯科学雑誌
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マウス樋状根成因に対する遺伝学的アプローチ
朝田 芳信古屋 利恵前田 隆秀
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1995 年 33 巻 5 号 p. 1070-1077

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抄録

マウス樋状根成因に関与する特定の遺伝子究明に対し,その1つのアプローチとして近交系マウスの樋状根出現率と各遺伝子座の対立遺伝子の一致度に注目し,合わせて突然変異マウスの下顎第二臼歯(M2)に於ける樋状根出現の有無について検討したところ以下の結果を得た.
(1)12系統の近交系マウスのうち,AKR/J,C3H/HeJ,C57BR/cdJ,C57L/JおよびRF/Jの5系統において樋状根が認められ,樋状根出現率から3つの表現型(High,MiddleおよびLow type)にgroup分けすることが出来た.
(2)8系統の近交系マウスにおける樋状根出現率(表現型)と対立遺伝子の相関を検討したところ,Chromosome19が,Candidate Chromosomeとなることが示唆された.
(3)突然変異マウスのM2において,樋状根出現が認められなかったことから,突然変異遺伝子であるscid,db,dw,nu,dyおよびobがマッピングされているChromosome4,6,10,11および16以外のChromosomeに,樋状根発症に関与する主要な遺伝子が存在する可能性が示唆された.
以上(2)および(3)の結果より,樋状根発症に関与する主要な遺伝子がChromosome 4,6,10,11および16以外のChromosomeで,さらにChromssome 19に存在する可能性が伺われた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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