小児歯科学雑誌
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頂窩に関する研究(第3報)
乳臼歯における頂窩のSEMによる観察
張 野後藤 讓治
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1995 年 33 巻 5 号 p. 912-923

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抄録

頂窩に関する研究のうち,乳臼歯に対する報告は少なく,また,乳臼歯と永久臼歯との比較観察についての報告はみられない.我々はインド人小児の乾燥頭蓋骨10顆の下顎骨より得られた乳臼歯39歯を用い,頂窩について走査型電子顕微鏡による観察を行った.その結果を永久臼歯における頂窩と比較し,下記の所見を得た.
1.乳臼歯39歯中の20歯(51.3%)に50個の頂窩が観察された.
2.乳臼歯における頂窩の発現歯数及び発現個数は,第1乳臼歯と第2乳臼歯間に有意差は認められなかった.
3.乳臼歯における頂窩開口部の形態は,永久臼歯の場合と同様,円形のものが最も多く見られた.
4.乳臼歯における頂窩は,遠心頬側咬頭部において高頻度に発現した.この結果は永久臼歯の場合と異なっていた.
5.乳臼歯における頂窩は,同一個体の左右同名歯に対称的に発現する傾向が観察された.
6.乳臼歯における頂窩開口部の内径の平均値は172.2μmで,永久臼歯の平均値173.0μmとほぼ同様であった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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