小児歯科学雑誌
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小児歯科における行動科学的教育に関する研究
三宮 由紀石川 隆義簡 妙蓉永田 綾佐牟田 毅正藤 真紀子山口 典子長坂 信夫
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1995 年 33 巻 5 号 p. 946-952

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抄録

小児歯科診療における小児への対応能力の向上を目的として,広島大学歯学部小児歯科に在籍する歯科医師7名に対し行動科学的トレーニングを行った.今回,従来通りの講義形式の教育のみならず,ビデオテープやロールプレーを用いたシミュレーション型のトレーニングを行い,トレーニング前後の2回にわたり「術者から小児への対応における自信度調査アンケート」を実施した.そして,トレーニングを行わなかったコントロール群(歯科医師7名)と比較検討を行い以下の結果を得た.
1.小児への対応に関する行動科学的トレーニングを行ったトレーニング群と,コントロール群間において,1回目の自信度の総得点の平均値には統計的有意差が認められなかったが,2回目のアンケートにおいては両群間に5%の危険率で有意差を認めた.
2.「術者から小児への対応における自信度調査アンケート」の全質問項目においてトレーニング群の方がコントロール群の平均得点以上の値となり,5項目において5%の危険率で,1項目において1%の危険率で両群間に有意差を認めた.
3.「アドバイスの獲得」「他のメンバーとの普遍性」「対応技術における自己表現」について高いトレーニング効果が得られた.
以上のことより,術者から小児への対応における行動科学的トレーニングの有効性が示された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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