小児歯科学雑誌
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デンタルプレスケールを用いた小児の咬合力測定に関する研究
小方 清和苅部 洋行菊池 進
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1996 年 34 巻 4 号 p. 856-864

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抄録

本研究は富士写真フィルム社製「デンタルプレスケール」を用い,保育園園児110名(男児59名,女児51名,平均年齢4.2歳)を対象とし資料採得を試みた。IIA期は4歳6か月未満をIIA前期,4歳6か月以上をIIA後期として二分し,IC期からIIC期までの採得比率を求めたところIC期は30%,IIA前期は59%,IIA後期は93%,IIC期は75%であった。そのうちIIA前期とIIA後期の61名(男児30名,女児31名,平均年齢4.7歳)を最終資料とし,専用解析装置「オクルーザー」を用い咬合力,咬合接触面積ならびに咬合圧を測定し,IIA前期とIIA後期間の変化を検討した。その結果,以下のような結論を得た。
1.デンタルプレスケールによる資料採得は,IIA後期においてほとんどの小児で可能であった。しかし,IC期およびIIA前期の低年齢児においてはSサイズでもまだ大きく,さらに小さなSSサイズのシート選択が必要であることが明らかにされた。
2.咬合力および咬合接触面積において,IIA前期・IIA後期間で統計学的に有意な差が認められた。
3.乳歯列期において,咬合力,咬合接触面積ならびに咬合圧で30Hと50Hの測定値に差がみられた。これは圧力測定範囲の違いによるものであり,30Hでは測定範囲が狭いと考えられ,乳歯列においても多くの場合50Hのシートを用いるのが望ましいと考えられた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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