小児歯科学雑誌
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ミダゾラム舌下投与鎮静法に関する研究
第1報 鎮静度推移ならびに循環・呼吸系への影響
福田 理栁瀬 博河合 利方戸田 久美子中野 崇
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1141-1147

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抄録

本研究は,ミダゾラム舌下投与鎮静法の小児歯科臨床への応用の可能性を探るための基礎的検討を行った。すなわち,成人ボランティア8名を対象に,ミダゾラム0.2mg/kg舌下投与後の血中濃度および鎮静度の推移,循環・呼吸系への影響,歩行機能の回復過程,副作用について調査し,以下の結論を得た。
ミダゾラム血中濃度は,投与30分後に平均71.7ng/mlと最高濃度を示し,鎮静効果が充分期待できる血中濃度が維持されていた。また,投与25分後から60分後にかけて安定した鎮静効果が認められ,投与150分後には全症例が通常の状態に回復していた。歩行機能の回復過程では,投与60分後には全ての症例にふらつきが観察されたが,時間経過と共に回復傾向を示し,150分後に全ての症例で正常な歩行が可能になっていた
。循環系・呼吸系の変化では,ミダゾラム投与後,対照値に比べ血圧および経皮的酸素飽和度の低下が認められたが,全て正常範囲内の変化であり,臨床的に問題となる循環系・呼吸系への影響は認められなかった。さらに,経過を観察した全ての過程において重篤な副作用は認められなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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