小児歯科学雑誌
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横断連続切片標本による下顎乳中切歯の根管形態に関する研究
関口 浩櫻井 正治久保 周平藥師寺 仁町田 幸雄
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1244-1251

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抄録

下顎乳中切歯21歯について横断連続切片標本を作製し,その根管形態について検索した結果,以下の結論を得た。
1.横断面形態は,根管のいずれの部位においても単型が最も多く認められたが,中央1/3部,根端1/3部では峡状型がそれぞれ約28%認められた。
2.側枝は21歯中2歯(9.5%)に認められ,その発現部位は,いずれも根端1/3部のみであった。
3.根端分岐を認めた症例は皆無であった。
4.全被検歯21歯中,壁着性象牙質瘤を認めた症例は皆無であった。一方,21歯中有髄歯であった5歯について,遊離性象牙質瘤を認めた症例が3歯(60.0%)あり,その発現部位は3歯とも根端1/3部および中央1/3部の両部位であった。
5.根管の唇舌幅径および近遠心幅径の平均値は,冠側1/3部で1.14mmおよび0.79mm,中央1/3部で0.84mmおよび0.51mm,根端1/3部で0.47mmおよび0.31mmであった。
6.根管壁最薄部厚径は,いずれの部位においても1mm未満であった。
7.根管の立体的形状についてみると,全被検歯21歯中18歯(85.7%)が単純根管で,3歯(14.3%)が不完全分岐根管であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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