小児歯科学雑誌
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Sturge-Weber症候群の1例とその歯科的所見について
小出 武山賀 まり子覚道 健治田中 昭男大東 道治
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1252-1258

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抄録

Sturge-Weber症候群と診断された6歳3か月男児の歯科治療終了後,13年間にわたり口腔管理を継続し,以下の様な所見を得た。
顔面の母斑,緑内障および脳症状のtriasを備えた典型例で,頭部エックス線写真撮影により,脳の両側に鎌状に迂回した二重の屈曲石灰化陰影像を認めた。全身の発育は極めて悪く,19歳時の体重は,20kgであった。母斑は顔面のほぼ全面に両側性に存在し,上,下口唇は赤色を呈し,肥厚していた。口蓋粘膜や歯肉の随所に赤色斑が認められた。また,癲癇の治療のためフェニトインの服用により歯肉は肥大し,多数歯の萌出が遅延していた。また,転位歯などの歯列不正も認めた。さらに歯肉の数箇所に腫瘤が形成され,ブラッシング時などに同部から出血したため,2箇所で歯肉を切除した。切除した歯肉の腫瘤を病理組織学的に観察したところ,血管腫性エプーリスの像を呈していた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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