小児歯科学雑誌
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小児粘液嚢胞治療における床装置の効果について
中村 美保桑原 未代子杉山 知子根来 道恵
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キーワード: 小児, 粘液嚢胞, 習癖, 保存療法
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1259-1266

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抄録

粘液嚢胞の処置については,一般的に外科処置が行われているが,再発率が高い。今回,本学病院歯科口腔外科において1988年12月から1995年9月の6年10か月間に来院し,小唾液腺由来の粘液嚢胞と診断され,習癖が発症誘因と考えられた小児患者に習癖を除去するために床装置を応用した。本研究ではその予後が確認できた18例を報告する。なお,口腔診査の結果,習癖と明らかな関連が認められたのは8例,他の10例に関しては習癖の関与が疑われるものの,それを特定できなかった。
床装置は主に片顎用の床副子型,またはFKO型を使用した。効果判定は1か月後に行い,消失または縮小し,その状況が2週間以上継続していたものを「有効」,変化のないものを「無効」とした。
結果は有効13例,無効5例であった。有効症例には3か月以上床装置の継続使用を指示した。無効症例は外科的処置を行ったが,再発を予防するため処置後も床を継続装用させた。現在,最短4か月から最長約5年の経過観察を行っているが再発は認められていない。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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