小児歯科学雑誌
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幼若永久歯歯冠修復処置に関する調査
大金 詩子尾上 博子藤居 弘通町田 幸雄
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1997 年 35 巻 1 号 p. 67-74

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抄録
現在における幼若永久歯に対する歯冠修復法の応用状況を知る目的で,平成5年度に東京歯科大学千葉病院小児歯科臨床を訪れ,永久歯に歯冠修復処置を施した5歳4か月から19歳11か月までの患者758名の被処置永久歯1700歯を対象として調査した.
歯冠修復処置法は,前歯ではコンポジットレジン修復が最も多く,臼歯ではメタルインレー修復が最も多かった.
修復歯面数は,前歯,臼歯とも1歯面に対する修復が最も多かった.メタルインレー修復は2面に対し施されたものが最も多く,コンポジットレジン修復は,前歯,臼歯とも1面が最も多かった.グラスアイオノマーセメント修復および銀アマルガム修復はほとんどが1面に対するものであった.
窩洞形態は,メタルインレー修復では,上顎大臼歯はOL窩洞,下顎大臼歯はOB窩洞が最も多かった.コンポジットレジン修復では,前歯における窩洞形態はMを含む窩洞が大多数を占め,臼歯ではMあるいはBが多く,Oへの応用は皆無であった.
各歯冠修復法のそれぞれの窩洞形態は,何れもそれぞれの材料の長所短所を十分に考慮した応用状況であった.特にグラスアイオノマーセメント修復および銀アマルガム修復は,メタルインレー修復やコンポジットレジン修復に比べ低年齢児に対する応用が多かったが,これらは暫間的な修復手段として応用されたものと考えられた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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