小児歯科学雑誌
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歯肉線維腫症の1例
佐野 正之平澤 雅利鈴木 昭渡部 茂嶋田 淳山本 美朗関 康弘
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1997 年 35 巻 5 号 p. 965-969

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抄録

患者は8歳5か月の女児で著しい歯肉肥大・歯列不正を主訴として当院を受診した.口腔内所見は上下顎歯肉は全体的に肥大しており永久歯部において著明である.色調は正常歯肉と同様であり,硬さは上顎前歯部唇側は弾性硬である.病理組織学的所見は,被覆上皮は肥厚し,角化が亢進していたほか,上皮突起の不規則な増殖が認められた.また,上皮下では細胞成分が乏しく,肥厚したコラーゲン線維の増生が著明で,線維束が錯走している所見もみられ,その一方でコラーゲン線維が細網線維の状態を呈する所見もみられた.またごく軽度ではあるが炎症性の細胞浸潤も認められた.
本疾患は,常染色体優性遺伝で,再発の報告もあり,長期にわたり慎重に経過観察を行うことが重要である.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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