小児歯科学雑誌
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咀嚼運動と歯根膜顎反射
小児と成人の比較
小杉 誠司田口 洋
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1998 年 36 巻 1 号 p. 101-110

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抄録

乳歯列期小児の咀嚼運動中の閉口筋の反射性制御について明らかにする目的で,小児と成人を対象に,咬合する歯種を変化させタッピング運動中の閉口筋活動を調べた。その結果,咬合部位による閉口筋活動パターンの変化に加えて,成人と小児での違いも認められた。
1.小児,成人ともに,全歯咬合時に比較して切歯部のみ咬合時では咬筋,側頭筋活動ともに減少がみられたが,臼歯部のみ咬合時では両筋ともに活動量が増加した。この結果は,成人に比し小児の方が明瞭に認められ,また結果のバラツキも小児の方が少なかった。
2.小児の側頭筋活動が最大となったのは乳臼歯部のみ咬合時で,次いで全乳歯咬合時であり,乳切歯部が咬合に加わることで筋活動量が減少した。このことから,切歯部から側頭筋への反射性抑制の存在が示唆された。
3.両筋の活動比率を調べると,切歯咬合では咬筋の方が,臼歯咬合では側頭筋の方がより大きく活動していた。さらに側頭筋前部よりも後部の方が咬筋との活動差が大きかった。この活動差もまた,小児の方がより明瞭に認められた。
4.歯根膜顎反射によって顎運動は末梢性に調節されており,成人よりも小児の方が単純な神経調節機構であり,成人と小児での調節パターンの違いは,成長による各筋の走行差に起因したものであろうと推察された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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