小児歯科学雑誌
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乳臼歯の低位および晩期残存を伴った不正咬合の1例
内藤 真理子瀬尾 令士西川 康博大久保 和之赤嶺 秀紀木村 光孝
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1998 年 36 巻 1 号 p. 128-132

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抄録

低位乳歯の発生頻度は1~10%と報告されており,日常の臨床において遭遇することも稀ではない。咀嚼機能や咬合発育に障害をもたらす症例においては,機能回復を図るとともに咬合発育を正しく誘導していく必要があり,症例に対する的確な処置および長期的な経過観察も含めた治療が重要となる。著者らは,下顎乳臼歯部に3歯の低位歯を認めた13歳10か月の男児の1症例に遭遇した。
初診時の咬合発育は歯齢IIIBであり,下顎左側第二乳臼歯および下顎右側第一,第二乳臼歯は低位を示し,晩期残存状態を認めた。3歯の咬合面は,ともにほぼ平坦な状態を呈し,動揺は認められなかった。エックス線所見において,下顎右側第一乳臼歯には歯根吸収が認められたが,下顎両側第二乳臼歯の歯根吸収および歯根膜腔,歯槽硬線は不明瞭であった。
低位歯の原因としては,抜去後の下顎左側第二乳臼歯の組織学的検索において骨性癒着を示す所見が認められ,また患児に箸を噛む習慣があったことから,断続的な外力によって骨性癒着が惹起された後,隣在歯の萌出によって相対的に低位となった可能性が示唆された。
初診後,機能回復を図りながら段階的に3歯の抜歯を施行し,後継永久歯の萌出誘導を行った。以降,順調に後継永久歯の萌出および歯根形成が認められ,良好な経過をたどっている。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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