抄録
矯正治療および永久歯の齲蝕治療のためのエックス線撮影により,偶然,下顎小臼歯部に埋伏過剰歯の発生を認めた兄妹間の2症例を経験し,以下の所見を得た。
1.症例1(妹)は,11歳6か月時のエックス線写真において下顎左側第二小臼歯部のみに埋伏過剰歯が認められ,12歳3か月時に下顎右側第二小臼歯部にも埋伏過剰歯が認められた。
2.症例2(兄)は,12歳7か月時のエックス線写真では異常は認められず,16歳1か月時に下顎左側第二小臼歯部に埋伏過剰歯が認められた。
3.2症例をエックス線写真より判断すると,下顎小臼歯部の埋伏過剰歯の歯胚は11~12歳以降に発生したことが考えられた。
4.今回の2症例は共に兄妹であることから,遺伝的要因が影響することも考えられた。