小児歯科学雑誌
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小児歯科診療における小児が術者に及ぼす心理的ストレスに関する研究
第3報 心理的ストレスと性格特性との関連性
簡 妙蓉石川 隆義長坂 信夫
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1998 年 36 巻 1 号 p. 51-58

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抄録

我々は,歯科医師側における術者の心理的ストレスについて検討を行ってきた。小児から受ける術者の心理的ストレス得点の高低は,術者の性別,年齢,臨床経験などの一般的事項の項目とは統計学的な関連性が無く,むしろ術者自身の内的なパーソナリティーによる影響が大きいと考えられる。そこで今回,小児歯科診療における小児から受ける術者の心理的ストレスと術者の性格特性がどのような関連性をもっているかについて検討を行い,以下の結果を得た。
1.類型別出現頻度の検討では,D類の安定積極型が最も多く,続いてC類,A類,B類,E類の順であった。
2.情緒安定性(D,C,I,N),社会適応性(O,Co,Ag),向性(G,R,T,A,S)の3つの因子群から検討した結果,向性を測定する尺度と5%レベルの危険率で有意な相関が認められた。情緒安定性と社会適応性を測定する尺度とは有意な相関は認められなかった。
3.YG性格検査における尺度レベルの判定は,性格因子の12尺度の中で,劣等感を測定する尺度においては1%,一般的活動性,支配性を測定する2尺度においては5%,術者の心理的ストレス得点との間で有意な相関が認められた。その他の9尺度においては,有意な相関が認められなかった。以上のことより,小児歯科診療における小児が術者に及ぼす心理的ストレス得点は,YG性格検査による術者自信における劣等感尺度と最も関連性があることが示された。また,小児歯科診療における術者の性格特性において,術者の心理的ストレス得点の高低は性格の内向,外向を測定する向性と関連があることが示された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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