小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
幼児期から青年期にいたる歯列弓長径の成長発育に関する累年的研究
宮田 太郎町田 幸雄
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 36 巻 1 号 p. 80-92

詳細
抄録

幼児期から青年期にいたる歯列弓長径の成長発育について,永久歯列期に正常咬合となった同一小児28名(男児13名,女児15名)を対象に,2か月間隔に得られた累年模型を用いて,3歳6か月から20歳までの暦齢による観察と永久中切歯出齦時および第二乳臼歯脱落時を基準とした歯牙年齢による観察を行った。歯誌列弓全長径は,乳(永久)中切歯唇面最突出点から第二乳臼歯最遠心端まで,第二乳臼歯脱落後は永久中切歯唇面最突出点から第一大臼歯最近心端までの距離を計測した。
乳歯列期における歯列弓全長径は,暦齢でみると上下顎ともに観察開始時から乳中切歯脱落時にあたる上顎では7歳2か月まで,下顎では6歳4か月まで漸次減少傾向を示したのに対して,永久中切歯出齦時を基準とした歯牙年齢でみると上顎は出齦1年前から,下顎は出齦6か月前から乳中切歯脱落時まで増加を示した。永久中切歯出齦後の歯列弓全長径は,暦齢でみると上顎は11歳頃まで,下顎は10歳頃まで緩やかな増加傾向を示し,その後減少へと転じた。歯牙年齢でみると,上顎は永久中切歯出齦6か月後まで,下顎は出2か月後まで著明な増加を示した。その後,第二乳臼歯脱落時を基準とした歯牙年齢でみると,上下顎齦ともに脱落時から脱落1年6か月後頃まで著明な減少を示した。その後,最終観察時まで緩やかな減少傾向を示しながらもほぼ安定した。
男女別にみた歯列弓全長径は,いずれの時期においても有意差は認められなかった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top