小児歯科学雑誌
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小児顎骨骨髄炎のエックス線学的研究
春木 隆伸壼内 智郎下野 勉岸 幹二
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1998 年 36 巻 3 号 p. 541-546

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抄録

小児の顎骨骨髄炎は成人に比べ発生頻度は非常に少ない。さらに近年,小児における重症齲蝕が減少し,また,抗菌薬の使用により顎顔面領域における骨髄炎を発症する小児も減少してきたと言われている。しかし,岡山大学歯学部附属病院において現在でもなお年間数名の顎骨骨髄炎の患児に遭遇する。今回,本学歯学部附属病院を受診した顎骨骨髄炎の小児18名について,エックス線学的検討を行い,以下のような結論を得た。
1)発症年齢は最年少の6歳児から各年齢にほぼ均等に分布していた。
2)男児の罹患率が76%と有意に高かった。
3)61%にエックス線的に明らかな骨膜反応が認められた。これは成人の場合の約10%に比し,高率であった。
4)原因は下顎第一大臼歯の重度の齲蝕からの感染によるものが最も多く(44%),ついで乳臼歯の重症齲蝕による感染(28%)であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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