小児歯科学雑誌
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永久歯萌出遅延歯の処置法について
望月 清志大多和 由美町田 幸雄藥師寺 仁
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キーワード: 萌出遅延, 原因, 処置法
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1998 年 36 巻 4 号 p. 702-714

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抄録

平成元年4月から平成7年6月までの6年2か月間に,東京歯科大学水道橋病院小児歯科に新規来院した6歳以上の小児1,050名の中から永久歯の萌出遅延を主訴に来院し,その後萌出遅延に対する処置を行った症例を調査対象とし,その処置法について調査を行った。
1.処置歯95歯中,萌出誘導の成功したものは92歯であった。
2.粘膜開窓のみの症例は92例中33例(35.9%)と最も多く,次いで骨開窓+牽引の症例が30例(32.6%),粘膜開窓+牽引の症例が18例(19.6%)の順であった。また,上顎中切歯の2例,上顎犬歯の1例に抜歯が行われていた。
3.原因が強靭な歯齦の被覆であれば粘膜開窓のみで萌出遅延歯の萌出力を期待することができるが,その他の原因では開窓後に牽引を行う必要が多かった。
臨床において当該歯牙の自然の萌出力を期待できない症例に対しては積極的に開窓や牽引等の萌出促進誘導処置を行う必要があるものと思われた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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