小児歯科学雑誌
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ダウン症候群児の哺乳と摂食に関する研究
第1報 離乳期の栄養指導と母親へのアンケート調査結果について
野中 歩竹辺 千恵美藤村 良子平野 洋子武田 康男
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1998 年 36 巻 5 号 p. 751-757

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抄録

本研究はダウン症候群(以下DSと略)の離乳に関する母親の不安とその内容に関して調査し,同時に歯科スタッフと栄養士による共同の栄養指導の実際について検討したものである。離乳開始期と進行期の2相に分けて,離乳不安および不安内容をアンケート調査した。結果は対面調査を行ったDS児52名(DS群)の母親と急性の疾病の既往以外に基礎疾患を持たない対照群143名の母親の2群に分けて検討した。
1.両群の不安の有無を比較すると,離乳開始期,離乳進行期のいずれも,統計学的に有意な差をもってDS群の母親の不安が大きいことが分かった(X2,p<0.01)。
2.DS群の母親の不安は離乳の経過とともに拡大する傾向があった。
3.DS群の不安内容は対照群に比較して離乳開始期では,先天性心疾患(以下CHDと略)手術群で離乳食の開始時期に関する項目が顕著に多かった。
4.離乳開始時期は,CHD手術群が最も遅く,続いてCHD観察群,非CHD群,対照群の順であった。
5.栄養指導の傾向として,離乳前期では調理相談が多く,離乳形態が上がるにつれて栄養やその他の相談内容が増加した。
以上の結果は,DS群の摂食と栄養指導に関して,歯科スタッフと栄養士の連携が離乳前から後期においてまで重要であることを示している。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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