1998 年 36 巻 5 号 p. 768-776
光照射時間を変えて硬化させたコンポジットレジンの色彩とヌープ硬さを,硬化1日後の試料と5年間経過した試料について測定し,レジンの硬さが経時的変色に及ぼす影響を観察した。直径10mm,厚さ1mmのレジン試料をSilux plus(3M社)を用い,厚さ1mmのガラス板を介して20秒,40秒及び120秒間光照射して作製した。レジン色は,U,Y,DY,L,G,UO,YOの7色を用いた。硬化1日後の試料(1日群)と37℃ の人工唾液中に5年間浸漬後の試料(5年群)について,測色値とヌープ硬さ値を比較した。
1.1日群と5年群の試料のヌープ硬さを光照射時間別に比較すると,20秒群のYO,40秒群のUとDY並びに120秒群のDYを除くすべてのレジン色で,5年群のヌープ硬さの方が有意に高かった。
2.1日群と5年群の両者ともに,120秒群では,L*値が高いレジン色ほど高いヌープ硬さ値を示す傾向が観察された。
3.1日群と5年群の試料について,不透明度とヌープ硬さをレジン色別に比較すると,1日群の20秒群と5年群の40秒群において,不透明度が高いレジン色ほどヌープ硬さ値が高い傾向を示した。
4.5年群について,硬化直後に対する5年後のΔE*ab値とヌープ硬さ値をレジン色別に比較すると,120秒群については,ヌープ硬さ値が高いレジン色ほどΔE*ab値が低い傾向を示した。