1999 年 37 巻 1 号 p. 21-30
今回著者らは乳歯列期反対咬合児の,側貌全体の特徴と上下顎の咬合関係について把握するため,側貌頭部エックス線規格写真を用いて調査を行った。対象として新潟大学歯学部附属病院小児歯科を受診した乳歯列期反対咬合児139人(男児74人,女児65人)の治療前に撮影した側貌頭部エックス線規格写真を用いた。患児を日本小児歯科学会が示す基準値と比較すると同時に,頭蓋底後方部の傾斜角であるCranial baseangle (NS-Ba)の大きさで3群に分けて分析を行った。
その結果,
1)正常咬合児と平均値で比較した場合,乳歯列前期の患児が乳歯列後期の患児より上顎骨の劣成長の傾向が強かった。
2)乳歯列反対咬合児,基準値となった正常咬合小児のプロフィログラムには,どちらも大きなばらつきを認めた。
3)プロフィログラムのばらつきはCranial base angleの大きさを基準とした側貌全体の傾斜として整理可能であることが示唆された。
4)乳歯列反対咬合児においてCranial base angleの大きさの違いは上下顎の咬合関係や,Gonial angleに大きな影響を与えず,またCranial base angleの大きさと患児の年齢は関連が少ないことが示唆された。