小児歯科学雑誌
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呼吸周期および咀嚼周期に及ぼす鼻閉の影響
坂口 也子太田 勲浅香 めぐみ菅原 美佳五十嵐 清治
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1999 年 37 巻 3 号 p. 611-619

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抄録

呼吸周期および咀嚼周期に及ぼす鼻閉の影響を検討することを目的として,呼吸曲線と咬筋筋電図を同時に記録し,呼吸周期時間,咀嚼周期時間,呼吸数,相対呼吸量について分析を行った。被験者は鼻疾患や顎口腔系に異常が認められない成人9名とし,ノーズクリップを使用して人為的に閉塞した状態を鼻閉時とした。結果は以下の通りである。
1.安静時においては呼吸周期時間に対して鼻閉の影響は認められなかったが,呼吸数と相対呼吸量には有意な減少がみられた(P<0.05,P<0.01)。安静時の呼吸数と呼吸周期時間の変動係数は正常時と鼻閉時で大きな差はみられなかったが,相対呼吸量の変動係数は鼻閉時で増大した。
2.ガム・ピーナッツ咀嚼時では鼻閉時の呼吸数と相対呼吸量に有意な減少がみられ(p<0.05,p<0.01),呼吸周期時間と咀嚼周期時間には有意な延長が認められた(p<0.05,p<0.01)。ガム・ピーナッツ咀嚼時の鼻閉時の変動係数は,ガム咀嚼時の呼吸周期時間を除く全ての項目で正常時(非鼻閉時)より著しい増大を示した。
以上より,鼻閉状態下でも咀嚼しながら呼吸するが,その呼吸は浅く,長く,不規則であることが明らかとなった。また,鼻閉は呼吸そのものに変化を及ぼすばかりではなく,咀嚼周期にも影響を及ぼすことが確認された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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