小児歯科学雑誌
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幼若歯に対するEr:YAGレーザーの照射影響
-第2報照射面SEM観察およびラット歯髄の病理組織学的変化-
川端 明美山崎 一郎宮沢 裕夫
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1999 年 37 巻 4 号 p. 782-797

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抄録

本研究では,窩洞形成を目的にEr:YAGレーザーを小児歯科臨床に応用する際の有用性および安全性を検討するため,1報に引き続き歯硬組織および歯髄への影響を幼若ラットを用いて2つの実験を行い検討した。実験1では照射条件の違いによる照射面の観察を走査型電子顕微鏡(以下SEM)にて行った。被験歯は成長・発育期にある根尖未完成な体重30-50gの3週齢Wistar系雄性ラット上顎前歯を用いた。照射条件は50,100,150mJ/pulseの3条件とし,1照射条件で5匹(計15匹)のラットを実験に供した。実験2では照射による歯髄への影響を検討するため,ラット歯髄の病理組織学的観察を行った。
1照射条件で24匹(計72匹)のラット下顎右側臼歯咬合面にレーザーを照射した。これを3グループの実験期間(照射直後,7日,30日)に分類し,歯髄の経時的変化を観察した。1.照射面のSEM観察では,いずれの条件下でも高速回転切削でみられるスメアー層は観察されず,象牙細管が開口した状態が認められた。
2.病理組織学的観察では照射直後には充血や出血,滲出性変化といった循環障害や象牙芽細胞の配列の乱れやPulpo-dentinal membraneの消失が認められたが,7日後には全ての照射条件において回復傾向がみられ,骨様象牙質の形成が認められ,歯髄固有細胞は増生し,30日後では著明な変化は認められなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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