小児歯科学雑誌
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乳歯癒合歯の発現部位と乳歯列に及ぼす影響
松下 愛海原 康孝桑原 さつき池上 明雄森本 英樹天野 秀昭長坂 信夫
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2000 年 38 巻 1 号 p. 201-211

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抄録

乳歯癒合歯が後継永久歯の状態,および歯列へ及ぼす影響を検討することを目的とし,乳歯癒合歯を有する80名の口腔内状態および37名のHellmanの歯齢IIA期の研究用模型について,癒合歯の発現部位別に検討した結果,以下の結論を得た。
1.乳歯癒合歯は107症例中,上顎18症例,下顎89症例であり,下顎に多く認められた。また,下顎AB癒合が最も多く46症例あり,ついで下顎BC癒合で43症例であった。双生歯は上顎に2症例認められた。
2.両側性に乳歯癒合歯を認めたものは80名中22名(275%)であり,そのほとんどは左右対称に癒合歯を有していたが,下顎において左右非対称な部位に癒合歯を有したものを2名認めた。
3.乳歯癒合歯の後継永久歯の状態は,上顎AB癒合15症例中9症例(60.0%)に後継永久歯の欠如を認めた。下顎AB癒合では46症例中9症例(19.6%)に後継永久歯の欠如,4症例(8.7%)に後継永久歯の癒合,下顎BC癒合の場合,43症例中29症例(67。4%)に後継永久歯の欠如,7症例(16.3%)に後継永久歯の癒合が認められた。
4.ターミナルプレーンは癒合側と非癒合側とで大きな差は認められず,上顎もしくは下顎AB癒合歯保有歯列では垂直型が多く,片側性下顎BC癒合歯保有歯列では近心型が増加する傾向にあった。乳犬歯咬合関係では片側性下顎AB癒合歯保有歯列では癒合側で皿型が増加する傾向が認められた。
5.下顎に癒合歯が存在する場合,下顎歯列弓幅径が狭窄する傾向にあり,特に下顎BC癒合歯保有歯列では顕著であった。下顎の歯列弓長径は両側性に癒合歯が存在する場合,短縮する傾向が強く認められた。

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