2000 年 38 巻 1 号 p. 30-46
幼若永久歯の保護と小児期の口腔健康管理法の確立を目的として,全国29大学歯学部小児歯科学講座および教室により,5歳0か月から16歳11か月までの男子2015名,女子2065名,計4080名の小児を対象として,歯垢付着状態および歯肉状態について,年齢的および萌出程度別に萌出歯全てについて調査集計し,以下の結果を得た。
1)歯垢付着状態
上顎前歯は男女ともに増齢に伴い歯垢の付着のないもの(P1I0)の割合が減少する傾向が認められた。大臼歯は男女ともに前歯および小臼歯よりもP1I0の割合が低い値を示す傾向にあった。また,16歳時の上下顎全歯種で,P1I0が最も低い値を示したものは,男女とも上顎第二大臼歯であった。男子より女子の方がP1I0の値が高い傾向にあった。男女ともに,萌出途中の方が萌出完了してからの歯よりも,P1I0の値が小さい傾向にあった。
2)歯肉状態
上顎の前歯では,正常歯肉のもの(GI0)の割合は,男子は12歳時から16歳時の間で,増齢に伴い高い値を示す傾向にあったが,女子は12歳時から16歳時の間では類似した値を示した。大臼歯のGI0の割合は,全ての年齢において,類似した値を示し,男女間で差が認められない傾向にあった。GI0の割合は,上顎は男女ともに小臼歯が前歯や大臼歯と比較して高い値を示し,下顎は前歯が低い値を示す傾向にあった。男女ともに犬歯において,萌出途上と萌出完了したものでGI0の値に差が認められる傾向があった。