小児歯科学雑誌
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レーザーによる齲蝕診断の有用性に関する研究
-第1報デジタル処理化エックス線写真齲蝕深度との相関-
高森 一乗時安 喜彦保苅 成志奥村 泰彦渡部 茂
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2000 年 38 巻 4 号 p. 852-856

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抄録

近年開発された,レーザーを用いた齲蝕診断装置であるDIAGNOdent®は,永久歯齲蝕の診断に有用であることが報告されているが,乳歯齲蝕診断への有用性に関する報告は認められない。
そこで,本研究では,齲蝕が認められる抜去乳歯,ならびに永久歯のエックス線写真を,コンピューター上にてデジタル画像処理し,歯表面からの齲蝕深度を計測し,本装置の数値との相関について検索を行った。
被験歯として,抜去された乳歯17歯,永久歯14歯,計31歯を,本研究に供した。デジタル処理化されたエックス線写真より得られた齲蝕深度と本装置の数値との関係は数値30以下では乳歯では0.06±0.04cm,永久歯では0.08±0.01cmの齲蝕が観察され,最高値99において乳歯では0.18±0.04cm,永久歯では0.23±0.03cmの齲蝕が認められた。
両者の相関は,乳歯においてSpearmanの順位相関係数rs=0.800,永久歯においてはrs=0.692であり1%水準で有意な相関関係が見られた。乳歯においては永久歯に比べ,やや強い相関関係が認められた。
以上の結果より,本装置は乳歯おいても,永久歯の齲蝕診断と同様に,有用性があることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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