小児歯科学雑誌
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第二乳臼歯脱落期にみられた幼若第一大臼歯近心面齲蝕について
加我 正行工藤 真幸貴田 みゆき橋本 正則菊入 崇小口 春久
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2000 年 38 巻 5 号 p. 1075-1079

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抄録

歯の交換期に第二乳臼歯を抜去すると,第一大臼歯の近心面に齲蝕を見つけることがある。このたび,第二乳臼歯脱落期の幼若第一大臼歯近心面の齲蝕罹患状態について調査したので報告する。平成10年12月から平成12年2月の14か月の間に,本学歯学部附属病院咬合系歯科小児専門外来に来院した患児から,無作為に抽出した107本の第一大臼歯の近心面齲蝕を観察した。対象となった患児(健康児)の平均年齢は11歳1か月であり,最少年齢は8歳1か月,最高年齢は15歳3か月であった。エックス線写真撮影による診査にて後続永久歯の発育状態と位置を確認し,抜歯の適応症と診断された第二乳臼歯を抜去した。止血後,第一大臼歯にラバーダムを装着し,近心面をエナックにSCポイントを装着して洗浄し,齲蝕の判定を行った。107歯のうち,齲蝕に罹患してない健全歯面は僅かに8.4%であった。COは10.3%,C1は66.4%,C2は15.0%であり,C3とC4はみられなかった。幼若第一大臼歯近心面に,C1とC2を合わせて81.4%の齲蝕がみられた。放置するとさらに進行するのは明らかである。このため徹底した定期診査を実施して齲蝕予防に努めることが重要である。さらに,幼若第一大臼歯近心面齲蝕を早期に発見し,歯質の削除量を最少に抑える治療法の検討も併せて行った。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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