小児歯科学雑誌
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食物咀嚼における食塊水分量の変化
巣瀬 賢一赤間 智之福島 理恵阿部 真之介高森 一乗孫 泰一鈴木 欣孝時安 喜彦渡部 茂
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2000 年 38 巻 5 号 p. 1113-1118

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抄録

目的:唾液には食物咀嚼を円滑に行うという重要な役割があるが,食物咀嚼に及ぼす唾液の影響についての研究は少ない。そこで食物咀嚼中に分泌される唾液量と食塊水分量の変化について明らかにすることを目的に本研究を行った。
方法:8人の成人被験者を対象に食物咀嚼開始から嚥下までの時間の1/3,2/3,1(嚥下時),4/3の時点での食塊水分量を測定した。実験に用いた試料はビスケット(水分量:3%)カステラ(26.9%)ホットケーキ(40%),ライス(60%),トウモロコシ(75%),リンゴ(85.8%)である。結果:同一被験者の場合,食塊水分量の割合はほぼ一定であり低い標準偏差値を示した。試料一口量によって分泌された平均唾液量はビスケットが最も多く,始めの試料水分量と負の相関を示した。咀嚼中の食塊水分量増加率は咀嚼開始から嚥下までの時間の1/3の時点が最も高く,それ以後は一定の割合で増加した。これらの結果より咀嚼中に分泌される唾液量や食塊形成には,食物のもつ水分量が影響していることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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