2000 年 38 巻 5 号 p. 1130-1140
超音波診断装置の探触子を固定するための新しい装置を考案することによって,乳歯列期の小児における嚥下時舌運動動態の安定した描出画像を得ることができた。この新たに考案した装置を用いて,乳歯列期(IIA期)の小児15名を対象にジュースとヨーグルトを試験食品として嚥下時の舌前額断面の動態について検討し,さらに口蓋の形態との関連性についても検討したところ以下の結果を得た。
1.舌の陥凹深度は,ジュース嚥下時に比べヨーグルト嚥下時が有意に大きかった。
2.舌の陥凹時間において,陥凹形成時間は消失時間に比べ有意に長かった。
3.舌の陥凹形成速度は,ジュース嚥下時に比べヨーグルト嚥下時が有意に速かった。また,両食品ともに陥凹形成速度に比べて陥凹消失速度が有意に速かった。
4.口蓋高径とヨーグルト嚥下時の舌の陥凹深度との間に有意な相関が認められた。
5.口蓋容積とジュース嚥下時の舌の陥凹時間との間に有意な相関が認められた。