小児歯科学雑誌
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下顎第一大臼歯濾胞性歯牙嚢胞開窓後に牽引を行った1例
望月 清志辻野 啓一郎黒須 美佳藥師寺 仁
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2000 年 38 巻 5 号 p. 1157-1161

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抄録

下顎右側第一大臼歯の萌出遅延を主訴に来院した10歳2か月の女児に対し,口腔内診査,エックス線診査および病理学的検査を行った結果,下顎右側第一大臼歯の歯冠を含む濾胞性歯牙嚢胞と診断した。
処置として当該歯の開窓療法を施したが,開窓1か月後に下顎右側第一大臼歯は下顎第二乳臼歯直下の第二小臼歯歯胚に接触し,自然萌出が期待できないと判断したため,顎骨内からの牽引と遠心移動を開始した。
牽引開始2年で誘導を終了し,牽引開始2年6か月後に装置の除去を行った。術後のエックス線診査では,近心根の遠心方向への屈曲が確認された。
以上の経験から,濾胞性歯牙嚢胞における開窓療法と牽引法は若年者の処置法として有効であるが,歯根がほぼ完成し,かつ屈曲している場合の誘導は,従来の報告に比べより長期間を要するものと思われた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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