2000 年 38 巻 5 号 p. 972-984
中国上海市の幼稚園歯科検診を実施し,同時に得た小児の上下顎歯列模型を基に乳臼歯歯冠形態の解剖学的観察を行い,先人の報告との比較検討を加え,以下の結論を得た。
1.乳臼歯咬合面型は人種間に顕著な差は認められなかった。
2.上海市小児における上顎乳臼歯Protoconule, Metaconuleおよび斜走隆線の出現頻度は石家荘市小児に比べ低率であった。
3.上海市小児における上顎頬側面浮彫像および上顎第1乳臼歯のCingulumの出現頻度は石家荘市小児に比べ高率であった。
4.近心結節,下顎第2乳臼歯の第6咬頭および第7咬頭,下顎第1乳臼歯のCingulumの出現頻度は中国人小児間で差は認められなかった。
5.咬合面幅の比率は中国人小児間で相違性を示すか否かは明確にはならなかった。