小児歯科学雑誌
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低エネルギーレーザー照射が表層下エナメル質に及ぼす影響
硬度と耐酸性について
磯貝 美佳松村 祐新井 康司中垣 晴男外山 敬久渥美 信子山本 ゆう河合 利方青山 哲也土屋 友幸
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2002 年 40 巻 1 号 p. 10-18

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抄録

Er:YAGレーザーが歯質に及ぼす影響についての研究は,歯質の切削が可能な高エネルギー照射に関するものが多く,低エネルギー照射について検討したものは少ない。
そこで著者らは,Er:YAGレーザーを小窩裂溝填塞法の前処理へ臨床応用することを目的とした基礎的研究として,レーザー照射が表層下エナメル質に及ぼす影響について検索を行った。
表面形態観察から低エネルギー照射量を50mJ/pulseに設定し,偏光顕微鏡および走査電子顕微鏡を用いてレーザー照射エナメル質の縦断面の観察を行った後,さらにその耐酸性と硬度について検討を行い,以下の結果を得た。
1.レーザー照射部直下に,偏光顕微鏡では偏光性の異なる層が観察され,SEM観察ではコントラストの異なる層が認められた。
2.レーザー照射後のエナメル質の溶出Ca量は,対照群に比べ,明らかに少なかった。レーザー照射により,エナメル質表層の耐酸性が向上するだけでなく,表層下においても耐酸性が向上していた。
3.超微小硬度の測定では,20μm・40μm・60μmの深さにおいて,レーザー照射群の硬度は対照群に比べ,明らかな低下を示した。
以上,本レーザーの低エネルギー照射は,エナメル質表面の形態変化を起こすだけでなく,表層下エナメル質にも構造や物性の変化を起こし,耐酸性が向上すると同時に,硬度低下を招くことが明らかとなった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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