小児歯科学雑誌
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指示運動における口唇圧・頬圧と口唇動作の関連
高橋 摩理向井 美惠
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2002 年 40 巻 1 号 p. 64-76

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抄録

摂食・嚥下機能療法の間接訓練と,筋機能療法で行われている代表的な指示運動について,口唇圧・頬圧と口唇動作の分析を行い,相互の関連性について検討を行った結果,以下の結論を得た。
1.指示運動の種類により,口唇圧・頬圧,上唇点・口角外側点の運動軌跡長,上唇点・口角外側点のX・Y・Z軸の変位量,口唇幅径・高径変化率は異なる傾向を示した。
2.口唇動作作用時間は,口唇圧・頬圧作用時間に比較し短かった。終了時間では,口唇圧より上唇動作,頬圧より口角動作の終了が早かった。
3.口角牽引,口唇突出,頬を膨らませる,の指示運動では,口唇圧・頬圧と口唇動作との間の関連性は少なかった。
4.頬をへこませる,リッププル,リップパッファー,の指示運動では,口唇圧・頬圧と口唇動作との問に有意な相関が認められた。
今回の結果より,指示運動の種類により,口唇圧・頬圧,口唇動作に違いが認められ,指示運動を組み合わせて行う有用性が示唆された。また,指示運動を行うにあたっては,上唇,口角の観察が口唇の動きと強さを推察する上で重要であることが示された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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