小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
天然樹脂によるシーラントの検討
辺縁封鎖性について
千葉 有島村 和宏岡田 英俊菅島 正栄鈴木 康生五十嵐 治義
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 40 巻 4 号 p. 593-600

詳細
抄録

著者らは従来型の歯科用高分子材料の代替材料の一つとして天然樹樹脂に注目し,天然樹脂を歯科材料として用いた場合の有用性について検討を行った。材料は亜熱帯地方に生息する昆虫ラックカイガラムシが分泌する樹脂状物質を精製したもので,セラックと呼ばれる天然樹脂である。今回はセラックを填塞材として用いた場合のエナメル質との密着性,耐久性,辺縁封鎖性およびエッチングの影響について検討を行い,以下のような結論を得た。
1.エナメル質表面に塗布したセラック被膜はサーマルサイクルによる温度負荷に対して抵抗性を示した。
2.セラックにより小窩裂溝を填塞した場合,セラック濃度を40%にすることで辺縁封鎖性が向上した。
3.セラックの辺縁封鎖性に対するエッチングの影響は認められなかった。以上より,今後さらに検討の必要はあるが,物性の改善がなされれば,セラックは新たな歯科用材料としての大きな可能性を有することが示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
次の記事
feedback
Top