小児歯科学雑誌
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永久歯萌出遅延の発現様相
エックス線オルソパントモ写真による観察
加藤 由紀子岡本 みゆき中村 佐和子菊池 元宏吉田 昌文高橋 康男平田 順一中島 一郎赤坂 守人
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2002 年 40 巻 5 号 p. 761-767

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抄録

乳歯から永久歯への正常な交換は健全な永久歯列・咬合の育成に不可欠なものである。著者らは正常な交換の妨げとなる萌出遅延についてエックス線オルソパントモ写真を用いて観察した。萌出遅延歯を1983年発行の日本小児歯科学会の資料より2SD以上遅れているものとした。資料は8歳から13歳までの男児203名,女児215名,合計418名から得られたオルソパントモ写真(OP)である。また,今回は発現様相に加えて,萌出正常側と遅延側の歯冠.歯根発育段階についても比較検討した。その結果,以下の結論を得た。
1.萌出遅延の発現に有意な性差はみられなかった。
2.萌出遅延歯は1歯のみで生じているものが多く,歯種別でみると,上顎中切歯に最も多く,次いで上顎犬歯,側切歯であった。下顎は上顎に比べ極端に少なかった。
3.歯冠・歯根発育段階は遅延側で遅れをとる傾向にあった。
4.萌出遅延の原因は萌出方向の異常,萌出余地不足が多かった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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