小児歯科学雑誌
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細胞外マトリックスがMalassez上皮細胞に及ぼす影響について
荒井 縫衣子
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2003 年 41 巻 1 号 p. 201-208

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抄録

歯の発生段階において,歯根完成後も歯根膜に残存する唯一の歯原性上皮がMalassez上皮細胞である.しかし,その機能については不明な点が多く残されている.
そこで今回4種類の細胞外マトリックスFibronectin(FN),Laminin(LN),Osteopontin(OP),Collagen typeI(Col I)によるMalassez上皮細胞の接着,増殖を計測するとともに,チロシンリン酸化,Focal AdhesionKinase(FAK),paxillin,L1の発現を検討した.Malassez上皮細胞を各細胞外マトリックス上で培養したところ,FN,Col Iで接着が有意に促進し,LN,OPでは増殖が抑制される傾向を示した.FAK,paxillin,L1の発現は,著明な変動はみられなかったが,チロシンリン酸化は,各細胞外マトリックスで変動が認められた.培養60分後でOP,Col Iでpaxillinのリン酸化が亢進しており,培養3日,7日,14日目でFAKのチロシンリン酸化に変動が認められた.また培養14日目で,L1のリン酸化の発現が認められた.以上より細胞外マトリックスは,Malassez上皮細胞の接着,増殖,チロシンリン酸化に影響を及ぼすことが示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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