2003 年 41 巻 1 号 p. 303-309
X連鎖優性遺伝による疾患であるCoffin-Lowry症候群に遭遇したので歯科的所見を加えその概要を報告する.
1.患児は精神発達遅滞,低身長,低体重,鳩胸,脊柱の側彎曲,手指末節骨の鍵穴状変化,逆ダウン様の眼裂斜下などCoffin-Lowry症候群の典型症例と考えられた.
2.骨格は全体的に小さめであり,特に上顎骨などの中顔面の劣成長が著明であった.歯列弓も小さく,歯齢も暦齢と比べ遅れていた.
3.エックス線診査により上顎中切歯歯根の極度の吸収と,下顎中切歯部歯槽骨の水平的吸収が認められた.また, Polymerase Chain Reaction による検査により患児はPorphyromonas gingivalis, Actinobacillus actinomycetemcomitans,Capnocytophaga ochracea, Capnocytophaga gingivalis, Campylobacter rectus, Prevotella intermedia,Prevotella nigrescens, Bacteroides forsythusが陽性であることが確認され,歯周疾患に関する危険因子を持つことが分かった.