小児歯科学雑誌
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小児の咀嚼リズムの安定性
鶴山 賢太郎西村 一美三好 克実前田 隆秀
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2003 年 41 巻 1 号 p. 56-61

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抄録

本研究の目的は3種の異なる物性のグミゼリーを用いて小児の咀嚼リズムの安定性を調べることである.顎関節疾患を有しない平均年齢4歳8か月(II A期:乳歯列完成期)の5名の健康な小児を被験者とした.3次元6自由度顎運動計測装置Gnatho Hexagraph system(IP-1500A:小野測器社製)を用いて,下顎乳中切歯切縁近心隅角部の軌跡を計測した.また比較のために,平均年齢22歳4か月(永久歯列完成期)の5名の成人がボランティアとして参加した.3種類のグミゼリーはそれぞれゼラチン含有量を3% ,5%,7%に調節し,その物性に変化を与えた.グミゼリーはいずれも重量3.0g,一辺13mmの立方体になるように調節された.本研究においては5サイクルから10サイクルまでの開口相,閉口相,咬合相,cycle timeを咀嚼リズムのパラメータとして評価した.
その結果,(1)グミゼリーを被験食品とした自由咀嚼において,II A期小児の咀嚼リズムは成人に比べ不安定であり,特に閉口相時間において顕著に認められた.
(2)II A期小児の被験食品として用いるグミゼリーは成人に適するものよりもゼラチン含有量の低いものが適しており,3%のグミゼリーが最も安定性が良いことが示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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