小児歯科学雑誌
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全身麻酔下集中歯科治療を受けた患者と介護者を通して
尾山 里奈田中 千穂子舛元 康浩金城 幸子宮川 尚之森主 宜延山崎 要一
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2003 年 41 巻 3 号 p. 594-599

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抄録

全身麻酔下集中歯科治療を受けた患者の介護者を対象に歯科保健に対する理解と動機づけを行うことを目的とし,介護者へのアンケートと患者の歯垢付着,歯肉炎の状態を調査することで健康教育の意義,重要性を検討した.健康教育は全身麻酔下集中歯科治療前日に実施し,術後2か月の定期健診時に再評価を行った.
歯磨き習慣は,96.4%がありと回答し,専門的な指導を受けた経験の有無は,あり39.0%,なし61.0%であった.間食については,規則的であった者がわずか14.3%で,3回以上摂取していた者が82.4%にも達していた.歯垢付着,歯肉炎は術後が有意に減少傾向を示していた.歯磨きの意識と行動について「歯磨きの意識が変化した」は89.3%であり,「行動が変化した」は67.9%であった.また,間食の意識と行動について「間食の意識が変化した」は78.5%であり,「実際の行動に変化がみられた」は71 .4%であった.意識に変化のみられた者のうち,91.0%が行動の変わった対象であった.患者の歯磨きに対する受け入れについては50.0%が「変わった」と回答した.
以上から,介護者の歯磨き,間食に対する意識と行動の変化が得られ,患者の歯垢付着,歯肉炎状態が良好化した.多くの介護者は,口腔状態の改善が口という器官を健全に機能させるだけではなく全身の健康にも影響を与えるということに理解を示した.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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