小児歯科学雑誌
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2種の歯科用局所麻酔薬にアレルギーが疑われた患児の歯科治療経験
高森 一乗市川 智久鈴木 正二坂下 英明渡部 茂
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2003 年 41 巻 4 号 p. 739-744

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抄録

局所麻酔薬は,歯科臨床で頻用され,比較的その安全性は高いとされている.今回,2種の局所麻酔薬にアレルギー反応が疑われた患児の歯科治療を経験しいくつかの知見を得た.
症例は,4歳5か月の男児であり,アトピー性皮膚炎,気管支喘息を合併していた.某歯科医院で,オーラ注®Ctにて局所麻酔5時間後に眼瞼周囲の腫脹を生じ,シタネストーオクタプレシン®Ctにて,処置15分後に胸部の掻痒感を訴えた.皮内反応テストを行ったところ,両麻酔薬に陽性反応が認められたため,今後の歯科的対応を依頼され当科を受診した.薬剤リンパ球刺激試験においては,キシロカイン®Ctと静注用キシロカイン®とも陰性反応であった.皮内反応テストを行うに当たり,通常の判定に加え,血清学的な検索として,テスト前後の血中IgE,ヒスタミン濃度,好酸球数を比較検討することとした.静注用キシロカイン®での皮内反応テストの結果は,陰性であった.血清学的な検索においては,テスト前後の各項目に顕著な変化は見られなかったが,基準値より著しく高値を示し,その判定は困難であった.血清学的な検討を行っても判定が困難なことより,チャレンジテストを行い判定することとした.全身麻酔下にて,静注用キシロカイン®1.0ml併用し治療を行ったが,臨床的に異常は認められず,血清学的検索においては,各項目とも顕著な変化はみられなかったが,各項目は,基準値より高値を示した.静注用キシロカイン®にて陽性反応がみられなかったことより,従来から多く報告されている,防腐剤などの添加物によりアレルギー反応が惹起された可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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