小児歯科学雑誌
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市販シーラント材の牛歯エナメル質表面への引張り接着強さの検討
-レジン系とグラスアイオノマー系の比較-
松根 健介黒瀬 絵里奈北川 博恵山崎 道子松永 利恵生田 剛史早川 徹根本 君也前田 隆秀
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2003 年 41 巻 5 号 p. 823-829

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抄録
市販レジン系シーラント材およびグラスアイオノマー系シーラント材のエナメル質に対する接着性を比較検討するとともに,両者の違いをより理解するためにレジン系シーラント材のエナメル質前処理材(リン酸エッチング)およびグラスアイオノマー系シーラント材の前処理材(コンディショナー)の組み合わせを相互に変化させたときの接着性についても検討した。その結果,以下の知見が得られた。
1.FE-SEM観察から,エナメル質に対する侵襲はエッチング処理の方がコンディショナー処理よりも強いことが解かった。
2.メーカー指示通りに填塞した時の接着強さは,レジン系シーラント材の方がグラスアイオノマー系シーラント材よりも有意に高かった。
3.シーラント材と前処理材の組み合せによって接着強さが異なり,特にレジン系シーラント材の場合にその傾向が強かった。
4.レジン系シーラント材を用いた場合,リン酸エッチング処理の方が機械的な維持力が大きく発揮され,その結果,接着強さが高くなった。一方,グラスアイオノマー系シーラント材を用いた場合,シーラント材自体の物性が弱いために,維持力が十分に発揮されなかった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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