小児歯科学雑誌
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歯垢のpHおよび緩衝能と口腔内部位特異性
福田 敦史広瀬 弥奈八幡 祥子松本 大輔五十嵐 清治
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キーワード: 歯垢, 緩衝能, 部位特異性
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2005 年 43 巻 3 号 p. 433-441

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抄録

歯垢の齲蝕誘発能における口腔内部位特異性を明らかにするため,上下顎前•臼歯部,頬•舌側面の8か所から採取した2日目および4日目歯垢の緩衝能を測定し,部位の差を比較検討し,以下の結論を得た.
1.初期pHでは有意な部位の差を認め,2口目歯垢では,LAL(下顎前歯部舌側面)が最も高く,LPB(下顎臼歯部頬側面)が最も低かった(P<0.0001).4日目歯垢では,LALが最も高く,UAB(上顎前歯部唇側面),LPBが最も低かった(p<0.0001).
2.歯垢の緩衝能については2口目,4日目歯垢ともにpH6.0-5.5,pH55-3.0のいずれも有意な部位の差を認め,LALが最も高かった(2日目歯垢;pH6.0-55:P<0.05,pH5.5-3.0:P<0.0001,4日目歯垢;pH6.0-5.5:p<0.Ol,pH5.5-3.0:p<0.001).
3.2日目と4口目歯垢を比較した場合,初期pHでは有意差を認めなかった.緩衝能は,pH55-3.0でUPB(上顎臼歯部頬側面),UPL(上顎臼歯部口蓋側面),LPBにて有意差を認め,2日目歯垢の方が高かった(p<0.05).
以上より,LALの歯垢は齲蝕誘発能が最も低く,反対に臨界pH以下にて緩衝能が低かったUAB,LPBの歯垢は,齲蝕誘発能が高いと思われた.また,蓄積期間の短い歯垢は長い歯垢と比べ,齲蝕誘発能が低いことが示された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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