小児歯科学雑誌
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本学小児歯科外来における医学部附属病院からの紹介患者の実態調査
松本 弘紀角田 初恵夏堀 裕之原田 利佳子武藤 梨奈田中 光郎
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2005 年 43 巻 5 号 p. 639-644

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抄録

全身疾患を有する小児にとって最もふさわしい口腔管理の在り方を検討し,目指すべき小児歯科と医科との連携方法を模索することを目的とした調査・検討を行った.対象は平成13年4月から平成17年3月までの4年間に,岩手医科大学附属病院歯科医療センター小児歯科外来に,附属病院医科からの紹介で来院した患児100名であり,本調査により以下の結果を得た.
1.初診有病児数はこの4年間では減少傾向を示していた.
2.有病児が有する疾患を分類した結果,腫瘍性疾患が36.0%で最も多く,次いで循環器系疾患が多かった.
3.紹介元診療科は小児科が67.0%で最も多かった.循環器医療センターの小児科医師からの紹介をあわせると全体の約80.0%を占めていた.
4.年齢分布は全初診患児とほぼ同様の傾向を示した.
5.初診有病児の主訴の内訳は,精査が最も多く40.0%,次いで齲蝕が29.0%であった.
6.齲蝕罹患状態は全初診患児と有病児でほぼ一致していた.また平成11年歯科疾患実態調査と比較して有病児は年齢別一人平均齲蝕歯数が多く,齲蝕の進行度において重症傾向が認められた.
今回の調査から有病児における口腔内管理の必要性が改めて示唆された.有病児は易感染性疾患が多く,低年齢児が多いことを考えると,より早期から医科主治医と綿密な連絡を取り,全身状態について十分把握した上で,長期にわたる口腔内管理を継続していくことが重要であると考えられる.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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