小児歯科学雑誌
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蛍光反射装置を用いてマルチブラケット装着後の初期齲蝕の評価を行った症例
平野 慶子尾形 小霧木村 有香下野 勉徳永 忠之山岸 敦押野 一志
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2006 年 44 巻 3 号 p. 453-459

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抄録

矯正治療でマルチブラケット装着を行い,多数の齲蝕を生じた初診時年齢16歳の患児に対し470日間口腔衛生指導ならびに経過観察を行ったところ,以下の知見を得た。
1.齲蝕活動性試験カリオスタット値は2.5よりほぼ変化を認めなかった。
2. 470日中17回来院し,実質欠損を認めた部位においては,充填処置を行ない,初期齲蝕(白斑)の部位はフッ化物配合2剤型歯磨剤の供与とブラッシング指導,フッ化物塗布を行った。蛍光反射装置を使用して,上顎の左右中切歯を観察し,脱灰部位の治療の評価を行ったところ歯全体の面積に対する初期齲蝕の面積は,経時的に低下した。初期齲蝕部位の輝度については上顎左右中切歯ともに初回で最低値であり,治療開始後247日で最高値となり,最終的にはやや最高値より低い値となった。
3.肉眼的には歯頸部を中心に白斑の改善が認められたが,蛍光反射装置における評価ではより明瞭に再石灰化が推察された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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