小児歯科学雑誌
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本学近隣小学校におけるフッ化物配合歯磨剤の利用状況
倉重 多栄広瀬 弥奈八幡 祥子松本 大輔九津見 茂子五十嵐 清治
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2007 年 45 巻 4 号 p. 521-530

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抄録

学齢期におけるフッ化物配合歯磨剤の使用状況を把握するために,本学近隣小学校の1~6年生の児童181名を対象に,質問紙による調査を行い,以下の結論を得た。
1.フッ化物配合歯磨剤の使用割合は,本研究対象者全体の82.3%で,健康日本21の学齢期における目標値である90%に7.7ポイント少なかった。
2.歯磨剤の使用量は,歯ブラシの刷毛部の「1/3~2/3」が46.8%と最多を示したが,「1/3まで」と答えた者も43%であった。これらの量は,6歳以上の小児への適正使用量より少ないと判断された。また,高学年になるほど歯磨剤を「子供自身」でつける者が多かった。
3.洗口回数については,2回以内が推奨されているが,「3回」と答えた者が70.3%と最多を示した。
4.歯磨剤を選択する理由(複数回答)としては,「虫歯予防のため」が22.2%,「フッ素が入っているから」が18.4%であり上位を示した。
5.歯磨剤を使用していない保護者では,「今まで使用したことがない」,「泡立ちにより長く磨けない」との理由が多かった。
以上のことより,今後の齲蝕予防を推進するに当たっては保護者のみならず学齢期の小児に対してもフッ化物配合歯磨剤の使用を強力に推奨するとともに,正しい使用法を啓蒙していく必要性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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