小児歯科学雑誌
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歯科大学病院小児歯科における病診連携の実態調査
原 麻子関口 浩竹内 智子山下 治人四ツ谷 賀央里藥師寺 仁
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2007 年 45 巻 5 号 p. 578-583

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抄録

平成17年10月から平成18年9月までの1年間に本学千葉病院小児歯科に来院した初診患児1,110名のうち,歯科診療所あるいは一般病院から診療情報提供書あるいは紹介状を持参した患児313名を調査対象とし,患児の来院時年齢,診療依頼内容,医科疾患・発達障害の有無ならびに紹介元医療機関の所在地および来院患児の居住地について調査し,以下の結論を得た。
1.全調査対象患児313名のうち,来院時年齢は3歳から7歳の173名(55.3%)が最も多く,半数以上を占めていた。
2.診療依頼内容で最も多かったのは齲蝕治療139件で,次いで過剰歯,歯の外傷,萌出遅延・埋伏歯,歯列・咬合不正の順であった。
3.齲蝕治療では6歳以下が6割以上,歯の外傷では1~2歳が4割を占めていることから,紹介元医療機関では低年齢児の処置が困難であることが推察された。
4.医科疾患・発達障害を有する患児は44名(14.1%)で,精神発達遅滞,心疾患,喘息,自閉症が多かった。
5.医科からの紹介患児は7名(2.2%)で,小児科4件,形成外科1件,精神科1件,産婦人科1件であった。
6.紹介元医療機関の所在地ならびに患児の居住地域の双方とも,千葉市が最も多かった。
7.積極的な病診連携により,本学千葉病院小児歯科では地域医療機関からの紹介状を持参して来院する患児数が増加傾向にあった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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