小児歯科学雑誌
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中国石家庄市の幼稚園児の歯科健診結果
1991年と2006年との比較
押領司 謙齋藤 珠実正村 正仁中山 聡水谷 智宏楊 静李 憲起岩崎 浩宮沢 裕夫
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2007 年 45 巻 5 号 p. 632-638

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抄録

本学小児歯科学講座では1989年から中国各地における園児の歯科健診を実施している。今回,1991年と2006年に実施した中国石家庄市の同一幼稚園の歯科健診結果を比較し,さらに日本の歯科疾患実態調査結果と比較検討を行った。
調査は石家庄市第一鉄道幼稚園,1991年は4歳児と5歳児,男児252名女児199名の合計451名,2006年は4歳児と5歳児,男児55名女児119名の計174名を対象とし,咬合異常,歯の異常,歯肉炎状況,齲蝕状況を診査項目として実施した。2006年の結果を1991年と比較すると,咬合異常,特に上顎前突と歯の異常は増加傾向が認められた。歯肉炎は1991年(10.2%)と比較すると51.1%へと著しい増加傾向が認められた。齲蝕罹患者率,齲蝕罹患歯率,一人平均齲歯数を1991年と比較すると4歳児,5歳児ともに減少傾向にあり,5歳児では日本と同程度の割合であった。齲蝕処置率は増加傾向がみられるものの日本に比べ著しく低い割合であった。齲蝕進行度別未処置歯率では1991年と同程度の割合であった。また,日本と比較すると4歳児では軽症齲蝕が多く,重症齲蝕は少ない割合を示し,5歳児では軽症齲蝕は少なく,重症齲蝕が多かった。
今回の調査結果を1991年と比較すると,乳歯齲蝕罹患率の著しい低下が認められたが,齲蝕処置率は依然として低く,さらに歯肉炎罹患率は増加傾向を示した。また,対象人数の相違はあるものの齲蝕進行度別未処置歯率が低いことから,低年齢児の軽症齲蝕は放置される傾向を示した。その背景には歯科医師数の不足と齲蝕予防プログラムを含む口腔の健康増進システムの未確立が要因として考えられた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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