小児歯科学雑誌
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光誘導蛍光定量法を用いたフッ化物によるエナメル質再石灰化の評価
掛川 達彦大橋 英夫林 恒彦黒下 礼奈高橋 昌司鈴木 昭稲葉 大輔渡部 茂
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2008 年 46 巻 5 号 p. 609-616

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抄録

牛歯脱灰切片における再石灰化の評価を光誘導蛍光定量法,{Quantitative light induced fluorescence(QLF法)}とマイクロラジオグラフ画像定量法(MR法)とで行い,QLF法の信頼性について確認するとともに,フッ化物の牛歯脱灰切片,および口腔内における永久歯脱灰歯面に対する再石灰化に及ぼす影響をQLF法で評価した.測定項目はMR法ではΔZ,QLF法ではΔF,エリア,ΔQの3項目とした.牛歯脱灰切片を25日間,再石灰化溶液に浸漬させ,フッ化物塗布群(FV群)と非塗布群(コントロール群)との比較を行った.ヒト口腔内においては,ホワイトスポットを呈する歯にフッ化物塗布と,フッ化物溶液洗口(450ppm)を行い,2か月間の再石灰化効果を調べた.その結果,以下の結論が得られた.
1.QLF法のΔF値,MR法のΔZ値での比較では,両者に有意な相関が認められた.
2.牛歯脱灰切片を25日間再石灰化溶液に浸漬した際のΔFの回復率の平均値は,コントロール群が7.7±2.9%を示したのに対し,FV群は18.0±3.4%を示した.
3.口腔内においても,同様に2か月後のQLF値は再石灰化が促進され,平均では19.9±5.9%の回復率が示された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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