日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第67回(2016)
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一般研究発表(02) 体育社会学
02社−26−口−32 「武道」とは何か?嘉納治五郎の「柔術」から「柔道」への展開から考察する
「日常生活としての修養」における「個人」と「社会」の理想的なあり方に着目して
*高平 健司
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p. 106_2

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抄録

 嘉納治五郎は柔術を母体に自然体を基本とする柔道を創始し、「精力善用 自他共栄」の理念を掲げた。さらに、「武術」を「武道」にかえた。「嘉納の理想とした柔道修行(修養)」は「日常生活の修養」と同じ自利利他円満な構造である。そして、「それらの修行(修養)」の実践による「意識の厳密なる統一」として現前成就する「(自他不二)の実在」との関係は「現象」と「実在」との関係であり、その「実在」は「人格的行為主体」として作用する。この関係は仏教的にも儒教的にも解釈される。この関係に日常生活で「良知」を磨く「事上磨錬」を重んじる陽明学をベースとした三宅雪嶺の「現象即実在論」・「宇宙有機体」が応用され、(1)精力善用は①柔道技術に存する根本義であり、同時に②世の各般の事柄をなす上の原理(2)柔道の定義:①攻撃防禦の技術に存する根本原理であり、同時に②世の各般の事柄をなす上の根本原理たる身体精神の力を、最も有効に使用する道(1)(2)において、「①即②」の関係が成立し、三宅の「現象即実在論」・「宇宙有機体説」がその構成理論だと考えられる。

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© 2016 一般社団法人 日本体育学会
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