主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第67回大会
開催地: 大阪体育大学
開催日: 2016/08/24 - 2016/08/26
p. 115_1
サッカーの攻防ではボールと選手が双方のゴール方向への移動を繰り返す。この動きはあたかも振動子のようである。実際の試合を分析した結果、ボールはほぼ2チームのディフェンスライン(DL)の間の移動を繰り返し、両チームのDLとボールとの距離の変化はほぼ逆相同期していた。そこで本研究では、このサッカーの攻防を連成振動として表現することを試みた。連成振動とは、2つ以上の振動子が相互作用しながら振動する現象を指す。ここでは、2チームのDLとボールの3自由度系の連成振動とし、2つの固定されたゴールの間に、ゴール-AチームのDL-ボール-BチームのDL-ゴールという順序で、これら3つの振動子があるバネ定数で結合していると仮定し、数値シミュレーションを行った。その結果、両チームのDLとボールとの距離の変化に、実データと同様の逆相同期が確認できた。すなわち、複雑に見えるサッカーの攻防、特にゴール方向へのディフェンスラインとボールの動きは、3自由度系の連成振動という、単純な物理モデルで説明できることを示唆する。