日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第67回(2016)
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学際的シンポジウムⅠ
オリンピック・ムーブメントとパラリンピック・ムーブメント融合の可能性と課題
藤田 紀昭
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p. 20_2

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抄録

 オリンピック・ムーブメントとパラリンピック・ムーブメントには共通する部分は多々ある。例えば、オリンピック憲章の根本原則にある「スポーツをすることは人権の一つ、友情、連帯、フェアプレーの精神に基づく相互理解、いかなる差別も受けない」こと、「人種、宗教、政治、性、その他の理由による国または差別に反対」することなどは、パラリンピックが目指すコアバリューの一つである、<Equality>すなわち、「スポーツを通じてステレオタイプ化した意識に挑み、態度を変容させる、そして社会的なバリアや障害者に対する差別を打ち破ることで共生社会の実現に寄与する」ということに通じるものといえる。

 しかしながら、IPCの歴史的意義や、IPCが目指す、「初心者からトップレベルの選手まですべての障害者がスポーツを通じて自己実現していくこと」が未だ十分には達成されていないことを勘案すると、拙速的にインクルージョンを考えるよりは、共通の価値を持ちつつも車の両輪としてムーブメントを展開することの方が得策である。発表時には実際にパラリンピックが、障害者や障害者スポーツに対する意識をポジティブにする力があることを示す調査結果を提示すると同時に単にパラリンピックを開催するだけではIPCの目的は達成できないことを示す。

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© 2016 一般社団法人 日本体育学会
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